中国工場では在庫管理、棚卸、出荷検品、生産実績収集など様々な現場管理業務が日々行われています。

しかし、紙やExcelによる運用では入力ミスや転記ミス、情報共有の遅れ、誤出荷などの課題が発生しやすく、管理担当者の負担増加につながります。

こうした課題を改善する方法として注目されているのがハンディターミナルの活用です。本記事では、中国工場でよくある現場管理の課題を整理しながら、ハンディターミナルで改善できる業務、導入事例、導入を成功させるポイントについて解説します。

中国工場でよくある現場管理の課題


ハンディターミナルやシステムを活用しない現場管理では、どのような問題に担当者や責任者は頭を悩ませているようでしょうか。まずはハンディターミナルで解決する課題についてご紹介したいと思います。

在庫数が合わず原因調査に時間がかかる

原料や部品、製品、消耗品などの在庫数を定期的に棚卸しで確認しているものの、日々の入出庫の履歴は手入力による管理のため原因特定が難しく、日々の入出庫の数量チェックから始める必要がある。

そのため棚卸し作業以外の余計な確認業務が必要となり、在庫差異の原因調査に多くの時間を費やしてしまい、本来行うべき改善活動や管理業務の時間が確保できていない

棚卸作業に多くの工数が発生する

月末になると物流部、製造部、財務部と大量スタッフを集めて数日に渡って棚卸し作業を実施している。部署を問わずスタッフを招集するため、棚卸し期間中は通常業務の生産性が低下してしまっている。

出荷ミスや誤出荷が発生する

出荷伝票と製品のチェック作業、客先指定のラベル貼り替え作業は目視チェックがメインのため、見間違いが生じて出荷ミスや誤出荷が発生している。

現場データの集計や報告が遅れる

各担当者に任せている日報や作業指示書などの現場データは退勤時に回収し翌日、スタッフが集計作業を実施している。そのため現場からの資料回収漏れや集計担当者の不在などイレギュラーが発生すると、集計作業や報告が通常よりも遅れてしまう。

なぜ紙やExcelによる管理では限界があるのか

手書きや転記による入力ミスが発生する

手書きや転記の管理はヒューマンエラーによるミスが発生する確率が高く、データ精度が低くなってしまいます。また管理するデータ項目が多くなると比例してケアレスミスが増える傾向にあります。

リアルタイムな情報共有が難しい

手書きした情報は他のスタッフとリアルタイムに共有することが難しいため、数量やロット情報など現場で必要な情報を都度、担当者に確認する必要が生じます。

また、データ登録時刻などの履歴情報が取得しにくく、情報精度も低くなりやすいため、ある程度の製造規模になるとリアルタイム化の実現が効率化と精度アップの要になります。

担当者依存の運用になりやすい

用紙管理では厳格なルール化が難しく入力必須項目を未記入にするなど、漏れが発生してもシステム的なチェックが行えず、担当者依存の運用になってしまいます。

ハンディターミナルを活用した現場管理とは

バーコードやQRコードを読み取って情報を登録する

用紙やExcelの代わりにバーコードやQRコードをハンディターミナルでスキャンし、実績データとして活用します。用紙やExcelで生じていた入力漏れやミスを最小限に抑え、作業スピードを向上させます。

現場でリアルタイムにデータを収集する

スキャンしたデータをネットワーク経由でシステムへ反映させると、リアルタイムなデータ管理を実現します。

リアルタイム化のメリットは現時点の在庫数の把握や照合判断が可能となり、収集したデータを活用し、在庫状況や作業実績を常時把握できる点です。

既存システムと連携して管理業務を効率化する

ハンディターミナルでスキャンし集計したデータは、既存システムとの連携を実現することで、販売管理、購買管理、在庫管理業務の効率化が可能です。

ハンディターミナル導入前は販売管理や購買管理などシステムにて入力していたデータ類を自動連携やデータのインポートにより、既存システムとの連携が可能になります。

ハンディターミナルで改善できる製造工程の業務


ハンディターミナルを活用して改善できる工場内の業務と機能を紹介したいと思います。一般的に在庫管理や生産管理での利用用途が有名ですが、それ以外の製造工程でも改善効果を発揮します。

在庫管理(入出庫)

在庫管理における入庫・出庫作業で活用できます。

入庫時は棚のロケーションQRと対象品のラベルQRをスキャンし「どのロケーション」に「どの品番を」「何個入庫したか」を記録します。

例えば保税品・非保税品を異なるロケーションで保管する場合、誤った場所に保管すると警告表示で作業者に通知を行います。

出庫時は「払出し指示書」や「出庫指示書」を元に指定のロケーションから対象品を出庫する際に、入庫時と同じくロケーションQRとラベルQRをスキャンします。

また、「指定されたロケーションか」「正しい品番か」「先入先出の順番が守られているか」「正しい数量か」「指定ロットか」など運用に合致するチェックを実施します。

棚卸管理

在庫管理の発展型として棚卸し管理があります。毎月または四半期や半期に発生する棚卸し作業でハンディターミナルを活用して作業を実施します。

棚卸し台帳を確認し記入しながら実施する棚卸し作業を、ハンディターミナルに棚卸データを保存して作業を実施することで記入間違い、目視間違いを防止し作業効率の高い棚卸し作業を実施します。

出荷検品

出荷時に外箱やパレットに貼り付けたラベルをスキャンし出荷検品の作業にハンディターミナルを活用します。見た目が似ている製品群も多くあり、多品種を取り扱う場合はスキャン運用でミスを防止できます。

また出荷検品の作業結果はハンディターミナルに保存が可能なため、出荷ミス発生時の履歴確認として活用が可能です。

顧客から出荷実績のメール送付を求められている場合、保存データを利用することが可能です。

生産実績収集

各工程の生産実績収集にハンディターミナルを利用します。現品票や部品、原料に貼り付けたラベルのQRコードと日報や製造指示書を紐づけして実績収集を行います。

実績収集には、秤量作業の履歴取得、原料投入時の投入先確認、充填作業時の設備確認や容器確認なども含まれます。また、照合作業による投入ミス防止にも活用できます。

中国工場におけるハンディターミナル導入事例

ハンディターミナルはどのような製造工程で利用されるのでしょうか。弊社の導入事例を元にご紹介したいと思います。ハンディターミナルは在庫管理だけでなく、出荷検品や梱包チェック、生産実績収集など幅広い工程で活用されています。

在庫管理をリアルタイム化した事例

在庫管理における入庫や出庫時の品番コード、数量、ロットなどの管理情報をリアルタイムに反映できます。そのため実作業と同時にFIFO(先入先出)が判断できるので、取り間違いミスが防止されます。

リアルタイム化により作業の都度、実在庫数が把握できるため、生産計画や購買計画の数量判断にも活用できます。

棚卸時間を短縮した事例

ハンディターミナルで在庫品のQRコードをスキャンする運用を導入することで、棚卸し時間を短縮できます。

システム導入前は、棚卸し台帳の確認、ラベル文字との比較チェック、数量点呼、台帳への記入、台帳を収集してExcelなど表計算ソフトへの転記、と棚卸し作業の工数は多いです。

しかし在庫ラベルにQRコードを付与し、ハンディターミナルでスキャンすると数量入力以外はリアルタイムにシステム内で自動的に保存・集計を行うため棚卸し時間の短縮が図れます。

棚卸作業時間を従来比50%以上削減した事例もあります。

梱包時の部品・説明書の組み合わせチェックを効率化した事例

製品を段ボール箱に梱包する際に、製品別に異なる取り扱い説明書や付属部品類など組合せがある場合、QRコードやバーコードをスキャンし、システム内で製品ごとの組み合わせチェックを実施できます。

作業スタッフや生産ライン単位でチェックした組み合わせデータの履歴を保管することが可能です。

また必要な場合はハンディターミナルのカメラ機能で梱包最終時の画像を保存することも可能です。

出荷製品のチェック&実績取得を効率化した事例

製品倉庫から出荷場へ運ばれた製品群をトラックに積載し出荷を行う場合に、出荷先ごとに製品の積載ミスがないかを、出荷指示書単位にハンディターミナルで製品チェック、実績取得が行えます。

毎日の作業数が多い場合、人の目を頼った作業はどうしてもミスが生じ、念入りなチェックは作業時間が必要になります。そのような作業に頭を悩ませている場合はハンディターミナル運用が効率的です。

生産実績の収集をデジタル化した事例

各製造工程の生産実績を手書きで日報へ記載し記述漏れや間違いが発生している場合は、ハンディターミナルを活用した実績収集への切り替えがおすすめです。

日報にQRコードを付与しハンディターミナルで作業開始と終了時にスキャンすると日報データがデジタル化され、生産実績の収集がリアルタイムで効率的な運用が実現できます。

ハンディターミナル導入時の注意点

「属人的作業廃止」「作業効率化」「ヒューマンエラー防止」「作業標準化」などハンディターミナルを導入する目的があるかと思います。

導入目的によりハンディターミナルの表示画面サイズ、テンキーを使う頻度、操作性、利用環境などを併せて検討し、最適なハンディターミナルをご提示いたします。

現場業務に合わせた運用設計を行う

どのような現場の業務でハンディターミナルを利用するか?運用に合致した設計が必要となります。

現在利用中の日報や生産指示書、現品票、原料ラベルなどにハンディターミナルでスキャン可能なバーコード類が存在するか、ハンディターミナルに表示する情報はどのような内容か等の運用を想定した設計が必要となります。

ERPや在庫管理システムとの連携を確認する

ハンディターミナルでスキャンするデータ類はERPや在庫管理などとデータ連携が必要か、確認が必要となります。ERPの場合は購買や販売データとの連携が考えられます。

また在庫管理システムとの連携の場合は、現在の在庫管理は手入力運用のため、ハンディターミナルでスキャンしたデータをどのようにして既存の在庫管理と連携を実施するか?を検討する必要があります。

既存システムを分析して弊社より連携方法をご提示いたします。

通信環境や端末選定を事前に検討する

ハンディターミナルでリアルタイムに現場データのチェックを実施するには、ネットワーク経由でサーバーの実データとのチェックが必須となるためアクセスポイントなどネットワーク環境の構築が必要です。

併せてハンディターミナル端末自体は、どのような環境やどのような目的で利用をするか、事前確認が必要です。

例えば、防爆エリアでの運用、バーコード以外に印刷された文字情報を読みたい場合、昼勤夜勤の2交代運用の工場での利用など環境や用途、稼働方法により機種端末や交換予定のバッテリーなどの選定が必要となります。

中国工場でハンディターミナル導入を成功させるポイント

導入目的を明確にする

ハンディターミナル導入を成功させるポイントは、どのような点になるのでしょうか。弊社導入経験より基本的な部分をご紹介します。

小規模な業務から導入を始める

初めて導入する場合は、まずは誤出荷防止やラベル照合など、効果が見えやすい小規模な業務から導入することをおすすめします。

例えば、誤出荷の防止、梱包時の関連ラベルの組合せチェック、各種ラベルやバーコードの二点照合、品番コードのチェックなどヒューマンエラーを防止する「うっかりミス(ポカ)」を「避ける(ヨケる)」、「ポカヨケ」に関するシステム開発です。

小規模ですが、非常に重要で間違いがあってはいけない作業です。ハンディターミナルシステムを活用することで、管理精度の向上が期待できます。

現場担当者を巻き込んで運用を定着させる

開発の前段階で現場担当者にヒアリングを実施して、「何が問題か」「どんな確認が必要か」「どのような運用を行っているか」等を確認します。

実際の作業担当者を巻き込んで要件整理を行った上で仕様書を作成し開発を実施します。操作しやすい開発を行うことで現場スタッフにも受け入れられやすくなります。

収集したデータを改善活動に活用する

ハンディターミナルを活用した照合作業にはヒューマンエラー防止以外にもメリットがあります。それは照合ミス発生時のデータ履歴が保存できる点です。

ラベルに多くのバーコードやQRコードが存在するとスキャンするコードの選択ミスや照合ミスが発生する場合があります。

照合結果を履歴データとして保存しておき1時間あたり、またはチェック総数に対して何回ミスが発生したか、どの生産ラインで多くミスが発生するか等の照合ミスを分析し、ポカヨケ改善活動に活用することが可能です。

中国工場のハンディターミナル導入でよくある質問

ハンディターミナルの提案や打合せの段階でお客様に質問を受ける内容を簡単に整理してみました。ご存じの内容もあるかもしれませんが、参考情報にしてください。

スマートフォンで代用できるか

利用する用途によりますが推奨はしていません。

最近のハンディターミナルは形状がスマートフォンと類似するモデルも登場していますが、スマートフォンと比べて落下に対しての堅牢性、防水防塵性能が全く異なります。

またハンディターミナルはOSがAndroidとWindowsの2種類を準備している場合が多く、お客様の要望に沿ったタイプの機器の準備が可能です。

QRコードを処理する内蔵アプリケーションもメーカー専用アプリが搭載され読取り性能がスマートフォンと全く異なります。

なお2026年最新モデルでは長時間の連続運用を想定し電池交換が可能なモデル、テンキー付属タイプやハンドグリップタイプにジョイントして利用できるモデルなどがございます。

QRコードとバーコードはどちらがよいか

QRコードの利用を推奨しています。

理由としてコード内に格納保存できる情報量が、QRコードが圧倒的に多い点、QRコード自体に補正機能(誤り訂正機能)と呼ばれる機能があり、一部破損や汚れがあっても読取りが可能なためです。

製造工場では油汚れ、現場の搬送中などラベルの破れが発生する恐れもあるため、QRコードの利用を推奨しています。

中国製ハンディターミナルでも問題ないか

推奨はしていませんが利用は可能です。

お客様のご予算の都合もあると思いますがアフターケア、堅牢性など総合的な観点から中国メーカーの利用は可能ですが、弊社実績としては台湾メーカーや日本メーカーの利用を推奨しています。

既存システムとの連携は可能か

既存システムとの連携は可能ですが、事前確認が必要です。確認内容により連携が難しい場合もあります。

既存システムにデータ連携用のインターフェースが準備されているか、追加開発が必要かによって対応方法や費用が変わります。そのため連携可否だけでなく、必要な開発範囲や予算も含めて確認することをおすすめします。

中国工場でハンディターミナル導入を検討のお客様へ

ハンディターミナルは在庫管理や棚卸、出荷検品、生産実績収集など幅広い現場管理業務で活用されており、ヒューマンエラー防止や作業効率化、リアルタイムな情報共有を実現する有効な手段です。

また、収集したデータを分析することで、ポカヨケや現場改善活動にも活用できます。中国工場で在庫差異や誤出荷、集計作業の負担などに課題を感じている場合は、自社の運用に適したハンディターミナルシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

3分で完了します。お問い合わせはコチラから