既存で稼働していたERP&MESをリプレースした導入事例のご紹介です。

お客様のシステムは稼働開始から既に10年以上が経過し、業務に合致しないシステム機能の見直し、長時間かかるデータ処理結果の時間短縮、財務部の在庫評価や棚卸し業務の省力化などの課題を抱えていました。

HSTがお客様よりヒアリングした内容を元に導入前の状況、システム導入で改善された業務内容などをご説明します。

ERP&MESを導入したお客様情報

設立年:2010年
資本金:1,200万ドル
拠点:江蘇省
事業内容:ユニット製造
システム導入範囲:既存システムのリプレースに伴う刷新。
         ERPと一部MES、用友データ連携など

HSTにシステム開発を相談した背景

既存で利用していたシステムのリプレースが一つのきっかけでした。

稼働中のシステムはERPとMESの一部、用友の財務モジュール、在庫モジュールを利用しており、開発元のシステム企業の保守や追加開発の対応への不信感とシステム機能に対する不満があり、リプレースに伴い他社を含めた選定を検討していた時にHSTに相談させて頂きました。

HSTを採用したポイント

既存のシステムを導入している企業、ローカル企業、HSTの3社に希望機能及び現状のシステム構成について相談をした上で、提案書を元にした面談を実施しました。

結論から言うとHSTのみが希望機能を満たし、社内で検討していなかった機能漏れや懸念点、利便性を上げる機能を含めた提案書の提示を受けました。

HST採用ポイント1:要望を満たした提案

弊社の要望、現在の問題点に対する改善策を確実に提示した点、また弊社からの要望と現状の運用との食い違いによる問題点を洗い出し、想定外の改善点の提示を受けた点がありました。

ローカル企業は要望や現行機能を加味しておらず、一般的なパッケージソフトの提案書の提示のみ。同様に現行のシステム企業はリプレース予定のERPソフトの紹介資料の提示のみで弊社の要望に対して言及していませんでした。

HSTは業務内容を元にして時間をかけて作ったと想定できる提案書が提示され、改善を真剣に検討していると感じ取れました。

後日談になりますが現行利用しているシステム企業側は他社に切り替わると想定していなかったようで、提案書にも力が入っていなかったようです。提案後に導入価格を下げて提示を受けましたが、今までの対応内容も加味して採用を見送ることにしました。

HST採用ポイント2:綿密な提案書の提示

ポイント1を含めた内容を含め社内で提案を比較検討できるように、業務内容を詳細に分析し分かりやすく落とし込んだ提案書の提示を受けました。

提案書を拝見すると経験が豊富で要望を満たした上でリリースできると判断させて頂きました。

HST採用ポイント3:設備開発の可否

既存で稼働している設備連携部分を引き継ぎ、新規システム向けに二次開発の対応が可能でした。

また既存のピッキング運用の問題点をリプレースにあたりシステムとハードの2つの視点から考えた提案が、松・竹・梅と数パターンの提示と共に各パターンのメリット&デメリットを含めた説明を受けました。

多彩な導入経験があるので、社内業務に合致する提案が出ているなと日本側のIT部門からもGOサインをもらいました。

導入したシステムで特に役に立った機能とは

基本的に全ての部門が利用する機能の利便性が向上したのですが、購買部と生産部の関心が高かったMRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)と、財務部の締め日作業が現行と比べて大幅に改善できました。

半日以上の処理時間が必要だったMRPが数分で完了

既存システムはMRP処理が半日以上の時間を必要としており、システム業者に改善を求めるも先送りにされ大きな不満を抱えていました。仕方なく退勤前にMRP処理を行い、翌日に内容を確認するというスタイルの運用となっていました。

10年前の導入時は30分程度でMRP処理が完了していたため、過去データの蓄積が大きく影響していると思い、システム内の過去データの削除依頼を何度も行ったものの対応してもらえず、対応企業よりサーバー更新で処理速度が上がると言われ更新するも結果的に処理速度は変わらずという状態が続いていました。

そのため今回のリプレースの要望としてMRP処理時間の改善は強く伝えさせてもらい、HSTからの回答として定期的なバックアップ作業と共にデータ削除を実施して処理に不要な過去データは削除できる点、そもそも関係がないデータを処理に利用しない運用を構築してもらえる点を、他社事例を含めて説明を受けた上で開発に望みました。

結果的にMRPの処理時間は数分程度で完了し、今までのシステムの導入時点の30分と比べても数倍の短縮に成功。また現在は半日かかっていた処理自体も当日処理となり経営判断の迅速化が達成されました。

早期処理が達成されたことで、購買担当も営業担当も顧客に対して納期や発注指示をスムーズに対応できる体制が構築されました。

19時間(約2.4営業日)の財務部工数の削減に成功

既存システムで効率化が達成できていなかった部分として財務部の工数削減でした。今回システム移行と併せて、財務部の工数削減も相談させていただき、大きな改善を達成しました。

在庫評価の改善

既存システムはMRPを含めた購買管理が稼働していましたが、在庫品と購入単価の紐づけが出来ておらず、在庫評価は財務部スタッフが表計算ソフトで都度計算をしており大変な手間でした。

今回から購入時の仕入れ単価情報を在庫品とシステム内で紐づけし管理。システム内で自動的に評価額が計算される仕組みとなりました。

仕訳入力の自動化

HSTが用友の代理店という事で、想定しなかったご提案を受けました。それは「仕訳データの自動連携」です。

既存システムでは用友とのデータ連携が出来ておらず、システムで生成され用友の仕訳に関係するデータ類を目視確認しながら手入力をする面倒な運用となっていました。

HSTより「折角なので自動連携しませんか?」と提案をうけたのですが、自動データ連携案があると思っておらず、移行に併せて自動化を実施。データ入力作業が格段に減り、入力手間だけではなく入力ミスや入力漏れが無くなり、締め日の作業短縮化に一役買う形となりました。

原価計算の配賦作業の自動化

製造コストに関する原価の配賦作業も現在は表計算で配賦基準を整理し毎月発生した費用を入力し、表計算で処理された結果を再度システムに入力するという運用だったため、作業時間も多く、ミスが生じやすい作業でした。

新規システムでは配賦マスタを整備し、各発生したコストの集計や配賦箇所、配賦基準との計算が自動化され配賦までの段取り作業と入力作業が短縮される形となりました。

部品ピッキングと在庫棚卸し運用の改善

既存システムではデジタルピッキングの運用を採用していました。

ピッキング作業自体は作業者目線で大変価値のある仕組みなのですが、大きな問題として利用する部品類が増えて棚を追加する場合や、工場内のレイアウト変更時に大きく費用が発生する点がネックとなっていました。

過去に部品追加に伴いレイアウト変更の依頼をした所、配線工事費用や追加機器など高額な提示を受けて二の足を踏んでしまい、融通が効いて操作性の高い運用方法をHSTに相談した所、タブレットと手に取り付けるスキャナー、ロケーションQRコードによる提案をいただきました。

タブレットには必要在庫の棚や保管段の位置とピッキング数のアナウンス情報を表示し、手に取り付けたスキャナーでロケーションをスキャンしピッキングします。一般的な手持ち式のスキャナーの採用を見送ったのは、部品類の重量が重いため両手を使ったピッキングを希望したためです。

また既存のシステムでは部品供給(入庫)と棚卸しは目視で行い手入力だったため誤りがあり、今回から部品供給時と棚卸し作業はハンディターミナル(PDA)を採用しロケーションをスキャンし数量入力を行う運用を採用しました。

作業自体はデジタルピッキング運用とあまり変わらずスタッフのウケは良い状態を確保しながら、今まで対応していなかったその場で棚卸しの数量確認を実現しました。

不良品発生時もピッキングした後にシステム登録という流れだったため、入力忘れや入力間違いが発生していたのですが、新規システムは先にシステムに登録した後に現場からピッキングするなど、今までの運用でミスが生じてしまう箇所の改善を盛り込んで開発を行ってもらいました。

新システム導入で改善された作業工数

財務に関する主な改善点を元に既存システム運用と移行後の新規システム運用での工数をお客様にご提示いただきました。

在庫評価

導入前:4.0H/月 導入後:0.5H/月

仕訳入力作業

導入前:8.5H/月 導入後:2.5H/月

原価配賦

導入前:10.0H/月 導入後:0.5H/月

総合計

導入前:22.5H/月 導入後:3.5H/月 → 19.0 H/月の削減

年末在庫棚卸し精度

導入前:0.7% 導入後:0.4% → 0.3%の改善

ERP&MESの導入後の状況

結論から言うと、問題も起きずスムーズに運用が進んでいます。

日本からもIT担当が定期的に訪問しHSTと会議の上、開発を進めていきましたが、改善案に対する回答も早い上に的確なため中国に任せて安心と評価を受けています。

また既存システムの保守契約の延長の話があり、コスト削減の面から保守契約を延長せず早期にリプレースを行う判断となり、HSTには納期時期の前倒し依頼など、コチラの都合で無理を言った部分も多くあったのですが、スケジュール調整の見直し含めて真摯に対応いただき、スケジュール遅延なく新規システムの稼働にこぎつけました。

既存システムとの並行稼働を3ヶ月対応しデータ差異もほとんど起きずに移行が完了しました。発生した差異はそもそもの既存システム側の問題だったことも判明しました。

一つの目処だった年末の棚卸しまで運用が済んだのでホッとしているところです。棚卸しのデータ精度も向上しシステム移行はよい判断だったと思っております。

ERP&MES導入事例のまとめ

既存ERP&MESのリプレース案件事例のご紹介でした。

お客様はシステムリプレースに対する熱量が非常に高く、既存システムに対しての不満の多さを感じ取れる案件でした。お客様自身が「どのように改善を希望する」というご意見を明確にお持ちで、スタッフ皆様の一人ひとりがHSTに協力的だったため、非常にスムーズかつ業務整理が行えた案件でした。

システムは機能を満たしてもご利用いただくお客様のご協力がなければ、更に良い仕組みの構築は難しい部分があります。今回の顧客は総経理、日本IT部、現地各部門の責任者が一丸となって導入を達成したプロジェクトでした。

システム未経験の新規導入、既存システムのリプレースなど何れの状況でも対応を行っております。システム導入を検討中の場合は、是非HSTまでご相談ください。

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