中国工場では、現在でもExcelや物流カードを利用した在庫管理を行っている企業が多く見受けられます。

しかし、管理対象の増加や生産量の拡大、コスト削減に伴い、記入漏れや入力ミスによる在庫差異、棚卸し作業の長時間化、リアルタイムな在庫把握の難しさなど、さまざまな課題が発生しやすくなります。

特に日系企業では、在庫精度の向上や内部統制の強化が求められるため、従来のExcel管理だけでは対応が難しくなるケースも少なくありません。本記事では、在庫が合わなくなる主な原因を整理しながら、QRコードを活用した在庫管理システムへの移行方法と導入効果について解説します。

在庫が合わなくなる主な原因とは
在庫が合わなくなる主な原因とは

記入忘れで記録なし

システムを利用せずExcelなどの「表計算ソフト」と「物流カード(物流卡)」と呼ばれる入出庫を記録する用紙を用いた在庫管理を実施すると、どうしてもExcelや物流カードへ記入忘れが発生し、在庫数が記録されずに在庫が合わなくなります。

入力や目視ミスによる在庫差異

人の手入力が中心の在庫管理の場合、「10と入力するのを間違えて0の入力忘れてしまった」、「物流カードに7と記入したつもりが1と目視認識してしまった」など、入力ミスや目視ミスが起こりやすい環境による在庫差異が発生してしまいます。

二重登録による数量不一致

入出庫や棚卸しの数が多いと数を数えた場合に誤って同じ品を二度認識し、重複してExcelや物流カードに登録することで、数量不一致を起こす場合があります。

現場での持ち出し記録漏れ

筆記用具を忘れて物流カードに記載できない場合、記載を他のスタッフに依頼するも後回しになって忘れた場合、サンプル品扱いなど一時的に持ち出す場合など、持ち出し時に何かしらの理由で記録漏れが発生する場合があります。

不正な持ち出しによる在庫差異

高額転売が可能な消耗品はスタッフが故意に持ち出してしまい、在庫差異が生じる場合もあります。

棚卸し未実施による虚偽報告

弊社のお客様で実際にあった事例ですが、棚卸し作業が面倒だからと始めから棚卸し作業を毎月していると虚偽の報告を行い、実際には棚卸しの作業をしていなかった場合もあります。

棚卸しに時間がかかる理由とは

棚卸しに時間がかかる理由とは

管理対象の識別確認に時間がかかる

仕入先から貼られている仕様の異なるラベル情報を目視で一点一点確認を行うため時間がかかるお客様が多く見受けられます。

また見た目は同じように見えてもコード体系で確認すると末尾のコードが違い、本来はそれぞれ違う品で在庫管理が必要であるものの、目視による確認で見逃してしまい同じ品と勘違いし、棚卸し数に差異が発生し再度、確認作業を実施することもあります。

集計作業に時間がかかる

棚卸しは複数のスタッフが同時にエリアを分けて数量確認を行い、各スタッフが確認し記述した数量をExcelなどの表計算に転記して集計を行い、在庫差異を確認するのですが、記述した数量をExcelに取りまとめる集計作業に時間を多く使う場合があります。

その他管理項目の確認作業に時間がかかる

棚卸し作業時は数量確認以外に消費期限など、指定期限を迎えた対象品が発生していないか?並行して確認を行う必要があり、同じ品番の品でも一定期限を過ぎた品が発生すると、廃棄処理など他の処理を実施します。

また理論在庫と実在庫の差異が生じると原因特定の調査と分析が必須となり、原因追求の確認作業に時間がかかってしまいます。

Excel在庫管理に限界を感じたらQRコード管理へ移行

Excel在庫管理に限界を感じたらQRコード管理へ移行

管理対象にQRコードを付与

原料、資材、消耗品など在庫管理を実施する対象に社内共通のQRコードを付与したラベルを発行して管理します。

QRコードには品番、ロット、消費期限など、社内の在庫管理で必要となる項目をまとめて保存し管理します。このQRコードが在庫管理の要となります。

QRコード読取りで精度&スピードアップ

入出庫や棚卸しの運用で品番、ロット、先入先出のチェックが必要な場合、QRコード内にチェックしたい項目を格納しておけば、QRコードをスキャンしたタイミングでシステムが自動的に判断するのでチェック項目の判断精度と判断速度が、人で判断するよりも向上します。

QRコードを使って入出庫と棚卸しの入力作業廃止

QRコードをスキャンすることで、入出庫や棚卸しで発生していた「物流カード」への書き込み、「物流カード」のExcelへの入力作業が廃止されます。

重複読取りはシステム判断でミス防止

人の作業で起こりやすい同じ管理対象品の重複読取り間違いも、QRコード内にシリアル番号を格納することで、QRコードのスキャン時にシステムで重複読取り判断をするため、重複読取りによる数量差異の発生を防止します。

在庫管理システム化で期待できる効果

在庫管理システム化で期待できる効果

棚卸し時間の短縮

対象品の目視確認、必要情報の記入、責任者への報告、集計、差異調査と分析など棚卸しには多くの工数が必要となりますが、対象品のQRコードをスキャンすると目視確認や記入、集計作業が排除され棚卸し時間の短縮化が図れます。

在庫精度の向上

時間短縮化と同時に目視による確認事項の判断、手書き作業、Excelの転記作業が廃止され、システム内部で処理されるため在庫データの精度が向上されます。

リアルタイム在庫確認

入出庫、棚卸しされる対象品はQRコードを読み取った時点で入出庫数、棚卸し数、在庫数がリアルタイムに反映されるため、今までのような入出庫や棚卸し数の集計作業の実施が不要になります。

誤出庫/誤出荷防止

「どの品番を何個、出荷したいか」また「先入先出」が必須など出庫や出荷条件がある場合、システム導入後は「払出し指示書」や「出荷指示書」を元に作業を実施します。

指示書に記載された指定のロケーションより対象品を探し、棚出しする際はQRコードをスキャンし品番、数量、先入先出のチェックをシステムが自動で判断するため、誤出庫や誤出荷が防止されます。

作業不正防止

入出庫・棚卸しを実施した作業記録(誰がいつ実施したか)が保存され、作業不正を防止できます。そのため「棚卸しを実施せず棚卸しを実施した在庫管理システムはどのような企業に向いているか 在庫管理システムはどのような企業に向いているか

在庫差異が頻発している企業

物の出し入れ頻度が高く、生産に直近の在庫数の把握が必要な場合、在庫数量をリアルタイム化し、在庫数量を社内共通情報として見える化を実現します。

在庫差異が頻発する理由は、複数の要因が潜んでいる可能性があります。先にも述べたような入力ミス、漏れ、確認ミスなどのヒューマンエラー、作業不履行による不正などです。システム化で運用ルールを徹底し、ヒューマンエラーを撲滅させることで、複数要因による妨げを無くし差異を改善させます。

棚卸しに多くの工数がかかっている企業

月末になると物流部スタッフ、財務部スタッフ、手の空いた生産部スタッフに手分けをさせて、倉庫内・製造工程内の在庫確認を実施させているが、残業込みで1日から2日ほど棚卸しに時間を要している場合、QRコードとハンディターミナルの活用で作業工数を減らしデータ精度の高い棚卸しが可能です。

Excel管理に限界を感じている企業

入出庫を含めてExcelで在庫管理を実施しているが、リアルタイムで数量が判断できない、先入先出管理が徹底できない、どのロケーションに在庫が保存されているか分からない、同一品番を極力同じロケーションエリアに保管したい、保税品・非保税品の保管を正しく行いたい等、Excelのみでは管理の限界を迎えたと感じた企業様にシステム化は適しています。

全社共通の在庫システムを導入して効果が見えない企業

グローバル展開している企業の場合、既に上位システムとして共通の在庫管理システムを稼働しているが、現場で期待する機能が不足している場合(先入先出/ロット管理など)は、弊社側の在庫管理システムで現場が欲しい機能を含めた在庫管理システムを導入し、上位システムとデータ連携をする開発も可能です。

在庫管理システム導入でよくある質問

在庫管理システム導入でよくある質問

QRコードとバーコードの違いは?

QRコードとバーコード(一次元コード)の大きい違いは、保存(格納)できる情報量です。

バーコードは最大でも20-30文字の保存量ですが、QRコードは最大7089文字の情報量が保存できるため、バーコードよりQRコードは数十倍から数百倍の情報が保存されます。

またバーコードは線の規則性を識別して情報を表示するため、一部の線が欠けると読取りが出来なくなり、QRコードは一部が欠けても補正機能により読むことができます。※バーコードを読み取る機器(バーコードスキャナー、ハンディターミナルなど)によっては、バーコードの補完機能で読み取りが出来る場合もあります。

バーコードではなくQRコードを採用、推奨する理由は?

QRコードの方がメリットが多く利用時の作業工数が少なく抑えられるからです。

QRコードは品番、数量、ロット、消費期限など複数の項目をQRコード内に一括で保存できるのでスキャン作業が1回で済みますが、バーコードは基本的に1バーコードに1項目の管理のため、品番、数量、ロット、消費期限の4項目の管理が必要な場合、4種類のバーコード4回スキャン作業が発生し読取り作業が4倍必要になってしまいます。

コード読取り機「ハンディターミナル」とは?

バーコードやQRコードを読み取る際に利用する機器を「ハンディターミナル(PDA)」と呼びます。

スマートフォンと同じように操作する画面と数字のキーボードが付属している端末機器で、バーコードやQRコードが読み取れます。生活の身近な所ではコンビニエンスストアの深夜などの品出し、スーパーやアパレル店舗のバックヤード、物流倉庫など小売、物流、サービス業の現場で利用されています。

既存Excelデータは利用できるか?

在庫管理システムを導入する際に、現在の管理データとしてシステムにインポート(取り込み)して利用が可能です。システムとExcelでは管理項目が違うため、必要最低限のデータを利用する形となります。

またシステム稼働後は基本的に既存Excelデータは利用しません。

仮にシステム稼働後にExcelで加工したいデータがある場合は、在庫管理システムよりデータのエクスポート(出力)が可能ですので、ご利用ください。

小規模倉庫でも導入効果はあるか?

導入効果はあると考えます。

費用対効果や管理アイテム数、何を目的としてシステムを導入するか、検討事項は存在しますが、少なくとも属人的でブラックボックス化した管理体制が廃止され、ヒューマンエラー抑止、在庫データ精度が向上するため導入効果はあるものと考えています。

中国工場の在庫を Excel 管理している日系企業様へ

在庫差異や棚卸し工数の増大は多くの場合、手書きやExcel入力を中心とした管理方法に起因しています。

QRコードと在庫管理システムを活用することで、入出庫や棚卸しの記録作業を効率化し、在庫精度の向上やリアルタイムな在庫把握を実現できます。

また、作業履歴の保存により不正防止や内部統制強化にもつながります。特に中国工場では、人員の入れ替わりや管理ルールの属人化による課題も発生しやすいため、システム化による標準化は有効な対策の一つです。

Excel管理に限界を感じている場合は、QRコードを活用した在庫管理の仕組みづくりを検討してみてはいかがでしょうか。

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