中国の日系企業の現場改善のお手伝いをしている上海HSTですが、近年中国では現場スタッフの確保が難しくなっています。

そのため入れ替わりの激しい状況で安定した現場運用が難しく、熟練度の高いスタッフ運用時に起きなかった誤投入ミスが生じています。

そこで製造中の間違い防止を人中心の確認運用からシステムを利用した確認運用に切り替えが進んでいます。

今回は粉体や液体の原料の誤投入を未然に防ぐ秤量と投入の管理システムをご紹介。

液体原料&粉体原料の誤投入で発生する問題点

原料の誤投入で起きる問題点

誤投入が発生すると業務や運用でどのような問題になるのでしょうか。

製品バラツキ発生

安定しない発色、製品の強度、チューブ製品など粘度の違い、均一化されないなど、完成した製品のバラツキが発生します。

再製造の手間とコスト

再製造が必要となると生産計画の見直しや緊急製造の残業、原料在庫が不足する場合は中国国内や日本への緊急発注が生じます。

計画・発注・契約など作業の手間や調整人件費、輸送費、原料の追加発注など余計なコストが必要です。

廃棄品の処理問題

中国では省単位で各企業が年間に廃棄可能な重量を定めている場合があり、廃棄コスト以外に廃棄が多い場合は行政への依頼や根回しなど面倒な業務が生じます。

そもそも廃棄品の受け取りを拒否される可能性もあり、誤投入を未然に防ぐことが廃棄品を産まない対処法になります。

事故後の報告と現場改善

社内で問題が判明した場合、客先の品質管理で判明した場合など事故後に製品の問題報告を社内や日本本社、客先に対して説明。

報告内容には再発防止について現場改善案の提出も必要になります。

清掃対応で生産停止

再度投入するまでにタンク洗浄など工場内の清掃活動が必要になります。

清掃活動中は一部ラインを停止しなければならず、生産計画を変更する要因になってしまいます。

ブランドイメージの低下

度重なる誤投入問題はブランドイメージや客先へエンドユーザーに対しての信用度低下に繋がってしまいます。

社内外へのアナウンスや状況説明、クレームに対してのお客様センターの対応、クレーム品の交換対応など、ストレスの多い対応が生じます。

そんな現場問題を解決する方法が「秤量&投入管理システム」となります。

秤量ラベル発行のシステム化

原料の計量時の秤量ラベル発行のシステム化イメージ

秤量システム導入は電子秤の連携が必須です。基本的にお客様の現場環境を確認し、設備機器の状況に合わせた仕様をご提示しています。

現場の秤量運用は様々です。秤量システムは現状の運用をベースにご提案。取付工事も弊社で対応しております。

ハードイメージ

システム概要として秤に秤量値や秤量予定の原料情報を表示するタッチパネルPCと「秤量ラベル」を発行するラベルプリンターを連携。

システムイメージ

主原料、副原料とも秤量前に原料ラベルをスキャンし、製造指示書に合致した原料か照合チェック。チェック後に原料と容器をセットし小分け秤量

指定の重量に達すると「秤量ラベル」を発行し小分け容器にラベルを貼付け、投入準備を行います。

原料誤投入を防ぐ!投入業務のシステム化

今回のお客様の投入管理は調製用タンクの蓋の部分に電磁ロックを設置しました。

原料とタンク番号が照合しないとロック解除がされず強制的に投入が出来ない運用を採用。

採用理由はシステム照合せずに投入作業を行う恐れを考慮してロック制御を導入しました。

副原料の投入システム化

副原料の投入業務のシステム化

副原料の投入照合の運用はハンディターミナルに製造指示書の情報を保存。製品別に調製するタンクが決まっているため、投入口と「秤量ラベル」を貼り付けた原料をスキャンし照合チェック

照合が正しい場合は投入口部分に設置した電磁ロックが解除され副原料の投入を開始します。

主原料の投入システム化

主原料投入のシステム化イメージ
主原料の投入も副原料の投入と基本的には同じ流れとなります。

ただし運用によっては副原料を優先的に投入し調製後に主原料の投入を行う運用もあるため、副原料の投入と主原料の投入の優先順位をシステムで判断する仕組みの導入も可能です。

原料の誤投入管理でトレース管理を実現

秤量と誤投入システムでトレース化
秤量から投入の運用をシステム化することで、製造情報のトレースを実現します。

秤量履歴と投入履歴には各製造で利用した原料のロット情報を管理。

システム内でトレース参照が行え、紙媒体に比べ検索の時間も短く済み、デジタル情報のため見やすく、データダウンロードを行いデータの二次活用も可能です。

誤投入管理が可能な日用品例

誤投入システムで管理可能な日用品例

今回ご紹介した秤量&誤投入管理システムを導入しますと、洗剤や芳香剤、入浴剤、冷熱シート、シャンプー、洗剤や柔軟剤など日用品の品質管理が可能となります。

記事のまとめ

粉体や液体を利用する日用品であれば、同様のシステム導入は可能です。

ご興味のある工場長様、品質管理部の方、上海HSTにご相談ください。

誤投入を未然に防ぐご提案をいたします。

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